パーキンソン病に治療の光が!

 

図説パーキンソン病の理解とリハビリテーション

図説パーキンソン病の理解とリハビリテーション

  • 作者:山永 裕明,野尻 晋一
  • 出版社/メーカー: 三輪書店
  • 発売日: 2010/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

なんでパーキンソン病になるの?

Date:  January 27, 2020

Source: Cedars-Sinai Medical Center

 

 

最新のパーキンソン病についての研究です。

アメリカでは少なくとも一年間に500000人の人がパーキンソン病と診断されています。その中でも若年性パーキンソン病と言って21〜50歳の間に発症してしまう患者がいます。その割合は多く全体の一割ぐらいだそうです。つまりアメリカだけで年間50000人もいるということですね。

 

若年性パーキンソン病で思い出すのは、ボクシングの神様、モハメットアリ選手や、映画、バックトゥーザ・フューチャーのマイケルJフォックスですね。若い人のパーキンソン病は本当に辛いそうです。若いのに動けないのは想像を超えた苦痛でしょうね。

 

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なぜパーキンソン病になってしまうのかというと、脳の中の中脳というところに黒質といって読んで字のごとく見た目も黒い細胞群があります。黒質は何をしているのかというとドーパミンを分泌しているのです。このドーパミンにはいろいろな働きがありますが、運動に関係していて簡単にいうとドーパミンがでている時は、体が良く動きます。逆にドーパミンがでていない時は動きが鈍くなったり止まってしまいます。パーキンソン病の患者さんは黒質の細胞が減ってしまうのでドーパミンを出しづらくなってしまいます。つまりドーパミンがでないので動きが鈍くなったり止まってしまうのです。そのほかにもいろいろな症状が出ますがここでは割愛させていただきます。

 

ではなんで黒質の細胞が減ってしまうのでしょう。結果から言うと黒質の細胞にαシヌクレインという異常タンパク質が溜まってしまうためです。なぜ貯まるのかというと細胞の中にはなんとゴミ箱(リソソームと言います)があります。パーキンソン病の患者はこのゴミ箱に異常タンパクをうまく誘導できません。そうすると本来ゴミ箱に捨てられるべき異常タンパクが細胞の中に溜まってしまいます。細胞の中に異常タンパクが溜まってしまうと細胞が機能しなくなってしまうのです。最終的にその細胞が死滅します。黒質の細胞の中に異常タンパクであるαシヌクレインが貯まることによって黒質の細胞が死滅しそこから分泌されるはずのドーパミンがでなくなってしまうのです。

 

IPS細胞の登場

今回の研究では、IPS細胞が使われています。IPS細胞は山中教授によって発見されました。この功績に対してノーベル賞が贈られたことは記憶に新しいですよね。

 

Cells under a microscope. Cell division. Cellular Therapy. 3d illustration on a dark background

 

実験では、まず最初に若年性パーキンソン病の患者の血液から細胞を取り出し、それを一度、幹細胞に戻します。

 

幹細胞とは全ての組織の元となる細胞のことです。例えばここから皮膚の細胞になったり神経の細胞に変化していくのです。しかし、一回変化してしまうと元の幹細胞には戻れないようにできているんです。この本来であれば元に戻れない細胞を幹細胞に戻すことができるようにしたのが山中教授の研究です。凄い!

 

 

 

で、今回の研究結果ですがIPS細胞の幹細胞から一度黒質の細胞に変化させます。つまり生まれたての黒質細胞を作ることができるのです。生まれた赤ちゃんから細胞を取り出すことはできなくても、IPS細胞で作った生まれたての黒質細胞を検査できればいつから細胞の異常が起こるのかがわかるという仕組みです。

 

いつから病気が始まるのか、つまりいつから異常タンパクであるαシヌクレインが蓄積するのか?結果は生まれたての黒質細胞の中にもうαシヌクレインの蓄積が始まっていたようです。この蓄積が20〜30年続くと病気が起こるというメカニズムです。

 

パーキンソン病の治療の可能性が見えてきた!

 

そうなのであればもう赤ちゃんのうちから何かしら治療をすればαシヌクレインの蓄積を防げるのでは無いか。結果、パーキンソン病が発病しなくなる訳ですよね。

 

まあそんなうまい話がある訳・・・なんとあったのです!PEP500と言う薬を発見したのです!この薬、もともと別の病気に用いられていた薬で皮膚癌に対して使われていたようです。もう使われている薬なので当然認可も下りています。この薬を使うとαシヌクレインの蓄積を抑えることができるのだそうです。

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今はまだ培養された細胞での結果なのですが、どのようにして脳の中の細胞にこの薬を届けるかが問題となっているようです。この問題が解決されれば若年性のパーキンソン病に苦しむ患者もいなくなる可能性があるのです。素晴らしい発見ですね!

 

パーキンソン病についてリハビリから専門的知識までわかりやすく解説してある本です。薄いのにすごく内容が濃いのでおすすめです。

 

図説パーキンソン病の理解とリハビリテーション

図説パーキンソン病の理解とリハビリテーション

  • 作者:山永 裕明,野尻 晋一
  • 出版社/メーカー: 三輪書店
  • 発売日: 2010/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)