女医さん話

お医者さんってやっぱり凄い

沢登りというジャンルがあります。山登りと同じ様に山を登るのですが、登るルートが違います。山登りが登山道を登るのに対して沢登りは沢(川)を登っていくのです。山の頂上から流れてくる川を辿って登るのですが、途中に必ず何個かの滝があるのです。沢登りの醍醐味はこの滝をロッククライミングの様に制覇しながら頂上を目指すことなのです。普通の山登りと比べるとスリル感が半端ないのです。

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私は、だらだらと登る山登りよりも時々、スリルを味わえる沢登りの方が好きでした。好きでしたというより、辛いのと怖いのどっちがいいって聞かれて、どちらも嫌だけどあえて選ぶなら怖い方かなって感じです。

 

友人に誘われて始めた沢登りですが、初めて行った時はその高度感にビビりましたね。今思えば大した滝ではなかったのですが、初めての時は、なんでこんな危険なことをしなければならないのか分かりませんでした。ザイルというロープを使って登るのですが慣れないうちはほんとに怖かったです。何回か行っているうちに慣れ行きましたが、登っている最中は、ジェットコースターの比ではないリアルに死に直結したスリルを感じることが出来るのです。しかし、人間不思議なもので一度このスリルを味わうと次に行くところでは、さらなるスリルを求める様になるのです。前行ったところより簡単だと拍子抜けしてしまい満足感が得られません。なので、だんだん難しい沢を目指す様になりました。

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そして、県内(某県、山がいっぱいある県)でも屈指の難しい沢に行くことになりました。そして、なんとその沢登りに初心者の女医さんが参加することになったのです。男性でも大変なのに女子、しかも初心者です。みんな「なんで?」って思いましたよ。理由は我々の沢登りのリーダー。口癖が「だいじょぶ、だいじょぶ」なのです。多分それに騙されたのでしょう。まあそのリーダーは海外遠征するほどのベテラン中のベテランなので国内の沢なんか、なんてことは無いのです。でもみんな「えー!」でしたね。

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そこの沢は巨大スラブといってお椀の底からお椀の淵まで登っていくという感じの形をしています。しかも、岩がツルツルで滑りやすい。一度足を滑らせると何百メートルも落下する。この上なく死に直結したスリルが味わえる沢なのです。みんな「知らないって怖い」と思いましたね。

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で、その女医さんですが案の定、登っている途中でセミになってしまいました。セミっていうのは登っている途中で体が固まってしまい、動くことが出来なくなる状態です。すぐ下にはそのベテランの方がいて落ちない様に支えていました。先に登っていた私たちはその状態を見て「やば!」ってなりました。すぐに上からロープを投げて助けようとしたのですが、なんとロープを投げた友人はロープの端を固定せずに投げてしまったのでロープはそのまま沢のそこへ落ちて行きました。ベテランの方が「何やってんだよ!」て怒ってましたね。今では飲む度に笑い話になっていますが。

これは万事休すだ、と思ったら、なんとその友人はもう一本ロープを持ってきていたのです。なんとかそのロープを使っていったん降り、違うルートから登ることが出来ました。よかった、よかった!

 

今日の主題はこの後の話です。もし、私がその女医さんの立場だったら「なんでこんな危険なところに連れてきたんだ!死ぬとこだったぞ!」といって怒ると思います。私でなくても、まして女子ならなおさらだと思うのですが、なんとその女医さん、ケロっとしているのです。特に文句を言うわけでなく、それどころか笑っているのです。「なんで?」って思いましたよ。頭おかしいのか、それとも賢いのか。間違なく後者ですよね。なんせお医者さんですから馬鹿では務まりません。しかも経歴が相当優秀な方らしいのです。この、感情をコントロールできる能力は前頭葉がよっぽど発達していないとできないだろうなぁ〜と思いましたよ。自分にとっては衝撃的でしたね。同じ人間でも全然違うって言うのを思い知らされた瞬間です。人種が違うって思いました。

 

その沢の思い出は、この出来事が一番印象的でした。私が一般ピーポーだと思い知らされた瞬間です。